私はコンプライアンスの仕事をしています。
仕事上で大切にしているのは、「相談される関係を作ること」です。
条文を覚えるよりも前に、人に話しかけ、話を聞き、整理して返す。
当記事では、相談される人であるために、私の普段の心がけを書いてみます。
| 段落 | テーマ | 磨く能力 |
| ① | 声をかける | 関係構築力 |
| ② | 勉強会講師 | 行動力+発信力 |
| ③ | 勉強会参加 | 学習力 |
| ④ | 英語カフェ | ファシリテーション |
①相談は信頼の延長線上にある
社内でできるだけ自分から話しかけるようにしています。
- カープファンの方には、快勝した翌日に「昨日の試合、強かったですね」 と声をかけます。
- お子さんの学校行事で肝試し大会のお化け役をやる人には「週末、お化けがんばってください」と言います。
- 販売現場を長く経験されてきた方には、「20年くらい前の販売現場の話、聞かせてください」とお願いします。
一つひとつは小さな会話です。
仕事の本題とは関係がないように見えますが、人は、正しい人に相談するとは限りません。話しかけやすい人に相談します。相談が始まる入口にあるのは、正しさだけではなく、安心感です。
- この人なら、頭ごなしに否定しない。
- この人なら、少し整理して返してくれそう。
- この人なら、困っていることをわかろうとしてくれそう。
そう思ってもらえるかどうかで、相談の数も質も変わります。 コンプライアンスは、条文を知っているだけでは十分ではありません。 相談される関係をつくって初めて、その知識が生きます。
②興味があるから、早く行く。前に座る。よく聞く
3月4日に、株式会社レグコンパス1様主催のコンプライアンス勉強会で講師を務めました。参加者は20名でした。
もともとのきっかけは、同社に関する新聞記事を読んだことでした。記事に業務説明会の案内があり、興味を持って参加しました。
説明会では、アセットマネジメント業界のハブとして機能したいという展望の話があり、今後、アセットマネジメント業界向けの勉強会も主催したいという構想も共有されました。そこで私は、自分が提供できる勉強会テーマがあるとお伝えしました。これが、第1回勉強会2の開催につながりました。
私は、興味があることには早く動くようにしています。そして説明会では、名刺配りよりも、話を聞くことを大事にしています。早めに行って最前列に座り、話を真剣に聞く。
講師や主催者にとって、聞き手の反応は気になるものです。真剣に聞いていること自体が、前向きなメッセージになります。
私が勉強会を好む理由は、知識は独り占めするものではなく、共有して磨くものだと考えるからです。人に説明できるレベルまで考えると、知識は整理されます。質問を受けると、自分の理解の曖昧さも見えます。フィードバックをもらうと、さらに良くなります。
知識は使っても減らない資産です。むしろ、使うほど整理され、深まり、価値が上がります。
③経験がないから学ぶ。学ぶ際は自分事にする
私は、キャリアの軸をコンプライアンスに置きながら、リーガルやコーポレートリスク管理にも対応できる人材を目指しています。 なぜなら、これらの視点を組み合わせることで、会社の守りにもっとプロアクティブに役立てると考えるからです。ただ、今の業務ではリスク管理の機会はありません。
そこで、1月から東京リスクマネジャー懇談会3という有志の勉強会に参加しています。物事に対し、経験がないのを恥ずかしいとは思いません。経験がないまま放置するのを恥じます。
勉強会に際しては、事前に資料に目を通し、自分なりの課題意識を持って臨むようにしています。 そして、学んだフレームワークを自分の日常に当てはめて考えます。一例として「飲み会幹事のオペレーショナルリスク管理」を考えました。
自分なりに想定したオペレーショナルリスクとその対処案をChatGPTに照会したところ、私の想定には2つの見落としがありました。
- 参加者が店の場所がわからないリスク
- 支払方法を確認していないリスク
前者については店の外観写真を参加者に共有する。後者については私が一括で支払い、あとで現金またはPayPayで回収すると参加者に事前に共有しておく。そんな対応を想定すべきでした。
仕事のフレームワークは、仕事の中だけで使うものではありません。 自分の生活に引き寄せて使ってみると、理解が一段深くなります。
また、勉強会ではチームディスカッションの時間がありました。議事録を書いて、翌日には同じテーブルだった6人へ共有しました。 私はリスク管理の実務経験者ではありません。だからこそ、その時点の自分にできることを提供しました。これからも、最善を尽くす努力を続けます。
④人が話しやすい場には、技術より前に姿勢がある
毎週金曜日の夜と日曜日の朝、私は英語カフェのボランティアスタッフをしています。
- 金曜日は、「予定が空いたから少し話しに行こう」という需要に応えるために
- 日曜日は、「朝から動いて休日を長く使いたい」と思う方のために
テーブルファシリテーションで意識しているのは、相手への向き合い方です。
- 名前を呼ぶ
- ポジティブな質問をする
- まだあまり話せていない人に、笑顔で話しかける
- 少し緊張している人に最初の一言を渡す
1人でいる寂しさもつらいけど、人といるのに感じる孤独はもっとつらいです。だから私がいる場所では、集団の中で1人ぼっちになる人がいないように気をつけています。
小さな働きかけにも価値があると思っています。
そして、これはコンプライアンスの仕事にも通じています。
- 相談しやすい雰囲気を作る
- 相手が話しやすいように整理する
- 困っていることを、その人が言葉にしやすい形にする
ルールの仕事である前に、人と向き合う仕事です。
⑤まとめ
ここまで書いてきた内容は、別々の話に見えるかもしれません。
- 社内での声掛け
- 勉強会の講師
- 外部勉強会への参加
- 議事録の共有
- 英語カフェのスタッフ
でも自分の中では、全部つながっています。
人の話を聞いて、整理して、前に進みやすい形にして返すことに、私の価値があると思っています。
どれほど多くの条文を知っていても、知識の量ではAIに勝てません。
ただ、信頼は決してAIに取って代わられないと信じています。
相手の話を丁寧に聞き、わからないことは学びに行く。学んだ内容は自分の中だけに留めず、人に返していきます。
20代、30代の頃は特に、どんな会社にいるか、どんな肩書きがあるか以上に、どんな人と働くかが仕事の質を左右すると感じます。
- 話しかけやすい人
- 話を聞いてくれる人
- 複雑な事象を整理してくれる人
- できない理由ではなく、どうすればできるかを一緒に考える人
私自身がそうでありたいです。
コンプライアンスは、厳しさや正確さが求められる仕事です。でもそれだけで終わらせたくありません。
人に相談されて、人と一緒に考える。 知識を共有し、場をつくり、関係を育てる。
これらの理由により、この仕事を 「コンプライアンスという営業」 だと思っています。
当記事を読んでくださった方がいたら、どこかでお話しできたら嬉しいです。
コンプライアンスに携わっている方でも、コンプライアンス部が苦手な方でも大丈夫です。
どんな思いで仕事に向き合っているのか聞くのが好きなので、ぜひ教えてください。
- 投資運用関係業務受託業等 関東財務局長(投受)第2号 https://regcompass.co.jp/about/ ↩︎
- テーマは金商法上の広告。タイトル「営業を知り信頼されるコンプライアンス 広告審査という入口」 ↩︎
- https://www.trma.jp/ ↩︎

