業務関連書籍

参考書籍

もうすぐ今年も終わります。まとまったお休みが取れる際に読みたい業務関連書籍をご紹介します。

タイトル             著者    出版社・年       ポイント                  
実務必携投資信託業務のすべて浜田好浩一般社団法人金融財政事情研究所
2022年
第1章は投資信託の誕生(戦時中)から近年までを振り返っており、歴史の一端に触れられる。第4章、第5章では日本で流行した公募ファンドの類型と背景にあった市場動向、販売会社の目論見が当事者の言葉で語られる。業界大手の運用会社で商品企画に従事した著者の豊富な経験が盛り込まれた一冊。

ただし、惜しむべく点として第1章「(4)契約型と会社型」で投資信託の受益権を信託銀行が発行する信託受益権と説明している。委託者非指図型の場合は正しいが、本書籍でページの太宗を充てて説明される証券投資信託は委託者指図型であり、上述の説明は誤解を招きかねない。
(投信法第2条第7項で、受益証券は委託者指図型投資信託にあっては委託者が発行するとされている)
投資信託の世界杉田浩治一般社団法人金融財政事情研究所
2019年
投資信託の歴史を第1章で説明し、以後の章では分配と税制、ディスクロージャーなどを日・米・欧で比較。各テーマごとに主要地域の知識のベースを得られる。
各章は独立しているので、気になった章から読み始めるのでもよい。
逐条解説投資信託約款小島新吾[編著]一般社団法人金融財政事情研究所
2019年
証券投資信託の約款を1条文づつ(意図、関連法令、当条文がある意義、なかった場合の影響)丁寧に解説。
法令の解説書籍はあれど、約款を懇切丁寧に紐解いた本書は希少にして至高。コンプライアンス、ディスクロージャー、商品開発、販売会社対応部署のいずれにも役立つ。
消費者のための金融法講座1
金融商品取引法・金融サービス提供法
桜井健次民事法研究会
2023年
第2,3,4部で両法令を解説。実務に落とし込んだ形で「適合性の原則」などの概念を説明しており、具体的に何をしなければならないのか/何をしてはいけないのかがイメージしやすい。第5部 投資被害救済の法理論は、投資の原則である自己責任を投資家に問うために金融商品取引業者等が満たさなければならない要件を解説している。
 2023年11月の臨時国会で両法の改正が可決されており、次著が待たれる。
金融商品取引業のコンプライアンスQ&A本柳祐介株式会社商事法務
2022年
行為規制、当局届出、金商業各種の業務解説を網羅的に行う。関連する条文を記載しており、法令を参照しやすい。実務を起点に関連する条文に向かっているベクトルもポイントが高い。
コンセプトドリヴン・コンプライアンス三浦悠佑Amazon Kindle版コンプライアンスをコンプライアンス部署以外にも「自分事」にしてもらうために必要なのはコンセプトと著者は主張。

 コンプライアンス研修は無味乾燥になりがちで、条文の解説に始終し、聴講者の役に立っているのかという問題認識が当ブログ執筆者にはあった。2023年秋にコンプライアンス研修を行うに際し、聴講部署により効果的なコンテンツ・説明方法を模索した時に非常に参考になった。

本1冊だけで全ては理解できませんが、複数の書籍にあたる、繰り返し読んでみる、気になった事項を自ら調べる、調べる際にはアウトプットを意識することで、立体感があり自分の言葉で語れる理解に至ると考えます。

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